2007年06月18日

レッテルをはる

ある方のブログから転載させていただきました。

  小学校で5年生の担任をしていた教師の話です。その先生は、小学校5年生の担任になった時、自分のクラスの中に一人、どうしても好きになれない少年がいました。服装が不潔でだらしなく、好きになれなかったのです。先生は、中間記録に、少年の悪いところばかりを記入するようになっていました。ところが、ある時、少年の1年生からの記録が目に止まりました。
 1年生の時は、「朗らかで、友達が好きで、親切。勉強もよくでき、将来が楽しみ」と記録されていました。「間違いだ。他の子の記録に違いない。」と、先生は思いました。2年生になると、「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」と記録されていました。3年生では、「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする」3年生後半の記録では、「母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」4年生になると、「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」先生の胸に激しい痛みが走りました。ダメと決めつけていた子が突然、深い悲しみを生き抜いている生身の人間だと感じられたのです。先生にとって、目を開かれた瞬間でした。
 放課後、先生は少年に声をかけました。「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない?分からないところは教えてあげるから。」少年は初めて笑顔を見せました。クリスマスの午後、少年が小さな包みを、先生の胸に押しつけてきました。あとで開けてみると、香水の瓶でした。亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。先生はその一滴をつけ、夕暮れに少年の家を訪ねました。一人で本を読んでいた少年は、先生に気がつくと飛んできて、先生の胸に顔を埋めて叫びました。「ああ、お母さんの匂い!きょうは素敵なクリスマスだ!」6年生の時、先生は少年の担任ではなくなりました。
 卒業の時に、少年から一枚のカードが届きました。「先生は僕のお母さんのようです。そして、今まで出会った中で、一番すばらしい先生でした。」
 それから6年が経ち、またカードが届きました。「明日は高校の卒業式です。僕は5年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます。」
 さらに10年が経ち、またカードが届きました。そこには、先生と出会えたことへの感謝と、父に叩かれた体験があるから患者の痛みがわかる医者になれると記され、こう締めくくられていました。「僕はよく5年生の時の先生を思い出します。あのままダメになってしまう僕を救ってくださった先生を、神様のように感じます。大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、5年生の時に担任してくださった先生です。」
 そして1年後、届いたカードは結婚式の招待状でした。
 「母の席に座ってください」と一行、書き添えられていました。(「致知」12月号 致知出版社より)

 この先生が少年のことを「ダメな子」「だらしない子」だと決めつけていたときは、この少年のことを好きになれなかったのです。しかし、少年の心の痛みを理解し共感したことによって、その少年にとって人生の恩師になるような先生になったのです。私たちは、目の前の人に対して、ついつい「○○な人」という決めつけをしてしまいます。「ダメな人」「わがままな人」「イヤなやつ」「性格の悪い人」などレッテルを貼ってしまいます。それは、その人の奥にある心の痛みを理解できていないだけなのかもしれませんね。その人の心の痛みに共感し、その人をまるごと理解してあげることができたら、その人にとっての“心の支え”になってあげることができるのかもしれません。



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Posted by やんち at 20:25│Comments(6)サプリメント
この記事へのコメント
いい記事ありがとうございます。
私も心の痛みを理解する前にすぐにレッテルを貼ってしまいます。
自分と合わないと思う人の心の奥底を理解し共感できれば幸せかな。
努力します。
Posted by やすべ at 2007年06月18日 23:29
一度、自分の目で読んで次に声に出して主人に読み聞かせしました。
大人の関わり方は子供の将来に大きな影響与えますよね。
いろいろ考えさせられる記事に出会えた事に感謝します。
Posted by 桜花 at 2007年06月19日 02:04
これは教訓ですね。
どうしても人を外見で評価してしまいます。
その人の心の裏側まで見ようとしません。
でもいつそれもなかなか難しいものです。
Posted by トンチャイ at 2007年06月19日 06:36
とてもいいお話を教えていただき、有難うございました。昼休みの弁当のご飯が、涙で塩味になってしまいました。
Posted by かもりん at 2007年06月19日 12:41
こんにちは~

とてもジーンとくるお話・・・
外見で決め付けるのではなく
その理由や原因などを踏まえた上で判断する事が大事ですね
どうしても目から情報が入ってくるので・・・
こちらの生徒も心あたたかい先生に出会えて
本当に良かったですね!
とてもいい記事をありがとうございま~す
Posted by えいじ at 2007年06月19日 15:23
☆ やすべさん、桜花さん、トンチャイさん、かもりんさん、えいじさん

いつもコメントありがとうございます。
私も目にして、つい涙腺がゆるみました。

これからも立ち寄ってください。よろしくお願いします。
Posted by やんち at 2007年06月20日 20:45
 
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